序曲『コリオラン』(Ouvertüre zu "Coriolan")作品62は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1807年に作曲した演奏会用序曲。
この序曲は1807年の初め頃に作曲された演奏会用序曲で、恐らくごく短期間で完成したとされる。ベートーヴェンの友人で、ウィーンの宮廷秘書官を務め、また法律家で詩人でもあったハインリッヒ・ヨーゼフ・フォン・コリン(en:Heinrich Joseph von Collin)の同名の、古代ローマの英雄コリオラヌス(Coriolanus)を主人公にした戯曲を見たときの感動が、作曲の動機となったという。物語は、古代ローマで大きな勢力を持っていたが政治上の意見の相違で追放されたコリオランが、隣国の将軍となり大軍とともにローマへの進攻に参加するものの、妻と母の献身的な忠告で再び祖国側についたので殺されてしまうというものである。
献身的な妻が出てくるという点で、ベートーヴェン唯一の歌劇『フィデリオ』との類似が見られる。
この曲が書かれた1807年にベートーヴェンは、交響曲第4番、第5番、第6番の3つの交響曲やピアノ協奏曲第4番、ヴァイオリン協奏曲などを作曲したが、こうした多忙な中でこの序曲が一気に書かれたという。
特に第5交響曲の第1楽章とは同じハ短調、アレグロ・コン・ブリオである他、動機の執拗な展開など類似点が多く見出せる。曲はコリンに献呈された。
エグモントなどと並ぶベートーヴェンの代表的な序曲です。
シンプルですがその中に第九、運命にも通じるような
ベートーヴェンらしさが凝縮されていると思います。